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園長先生のおはなし

2009年7月の保育

−よい種を分かち合う−

 最近、私の故郷、スペインの記事でこんなことを読みました。

 ある農家が、とうもろこし栽培コンクールで毎年1位をとっている。その農家に新聞社がインタビューをしたものです。「毎年1位をとるのは、どこに秘密があるんですか」。「うちは、いい種を隣人と分かち合っているからなんです」。

 皆さんは、とうもろこしがどうやって育ち、実をつけるかをご存じでしょうか。あれは、種を蒔いたら、そのまま成長して収穫が得られるわけではないんです。種を蒔く、花が咲きます。けれど、それは雌花と雄花があって、それぞれ違うタイミングで咲くので、それだけでは自家受粉ができない。人の手によるか、自然に任せるか、いずれにしても、雄花の花粉と雌花の花粉は自ら出会うことはできないのです。現代では、すべてが人工受粉でしょうけれど、自然の中のとうもろこしは、どうでしょう、おそらく風まかせでしょう。

 その農家の人が言いたかったことは、自分のところでは、丹念に育てた苗からとった、いい種を蒔いて、とうもろこしの花を咲かせる。いい種から育てた雌花の花粉は、もちろん、そのDNAをもって、風に運ばれていきます。それが、また、いい種から育った雄花と出会うことで、いい実りが生まれる。

 そのために、彼は、隣家の農業者と種を分かち合ったのかもしれません。彼が育てる畑で、いい実りが得られるためには、自分の畑だけを考えていたのでは、だめなんだということ。自然の営みによって、雄花と雌花が風に舞って受粉し、いい実りをもたらしてくれるためには、小さな、自分の環境だけに目を向けていてはだめだということです。

 私たち人間も自然の一部です。いのちを与えられ、それを生きています。

 私たちが生きているという「花粉」は、私たちの思いもしないところまで、風に運ばれているのだと思います。それが自由に飛ぶように、私たちの心を自由にすることができれば、それこそ神さまの思いのままに生きられるのかもしれません。

 自分の小さな畑の実りだけを思うのではなく、自分が風に乗ってどこへでも飛んでいける花粉になれば、隣の、そのまた隣の畑に豊かな実りをもたらすことができるかもしれません。そして、それが回りまわって、自分の畑を豊かな実りでおおいつくしてくれるかもしれません。

 もうすぐ、子どもたちも夏休みを迎えます。桜町聖母幼稚園の「花粉」をいっぱい浴びた子どもたちが、出会う人たちに目に見えない、愛の「花粉」を運んでくれる姿を思いながら、子どもたちの夏の日々を祝福したいと思います。

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