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園長先生のおはなし

2007年7月の保育

−与えられること・育つこと−

 唐突で、変な例えかもしれませんが、私は誰に対しても借りはありません。実際、私には借金というものはありませんし、借りたままのものもありません。私にあるもの、それは、今、生きてここにあるということ、司祭という役目で、この聖母幼稚園の園長であるということです。

 私には借りがありませんが、今の私をつくったのは私自身でしょうか。それは、半分はそうであり、半分はそうではありません。

 私が生まれてから、私は両親に食べさせてもらい、おむつを替えてもらい、着る物を与えてもらい、お風呂に入れてもらい、学校にいかせてもらい、何よりも愛されました。これは子どもの頃に限らず、成長とともに、私はさまざまな人にたくさんのことを与えられました。その一人ひとりのおかげで、今の私があるのです。私は、自分の力で成長できたわけではありません。

 私には、何をもってしても、かえられない信仰があります。でも、これさえも私が自分の力で手に入れたものではありません。信仰深いスペインの両親のもとに生まれたこと、両親が私に与えてくれた環境のなかで、なくてはならない空気のように、私のなかに培われたものです。私が努力して獲得したものではありません。

 周りを見渡してみましょう。どれだけ、私たち自身の力によって得たものがあるでしょうか。一つひとつを見詰めていくと、それらは自分の力によるのではない、両親であったり環境であったり、また、出会った人から知らず知らずのうちにいただいているものであったりすることに気づくのではないでしょうか。

 自分は、だれに対しても借りはないと思うのと同時に、自分がいかに人に生かされ、人からたくさんのものをもらっているのかに気づく。その心のいとなみが大事だと思います。

 私たちは、園長や園の先生という立場で、また保護者として、子どもたちと関わっています。守り、育てるという使命があります。けれども、私たちが、自分で自分を育てたのではないのと同じように、私たちはここでも、自分たちが育てられていることに気づくかもしれません。子どもとの生活のなかで、ふとした瞬間、子どもに与えていることよりも、子どもをとおして与えられていることのほうが多いと、気づくかもしれません。

 私たちは、与えられることで育ってきた。今、与えることで育っている。育っているのは、子どもだけではなく、私たちかもしれません。

 だれに対しても借りはない。けれども、小さい人をとおして、どれだけ私たちが人に育てられてきたかを知るのかもしれません。

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